古川簡易裁判所 昭和62年(ハ)11号 判決
(抄録)
「<証拠>によると、本件売買はXの従業員Aが昭和六一年八月一八日Y宅を訪問し、Yに対し、中学生用の学習教材『バランススタディ』を売り渡し、申込金(頭金)一万円を受領し、残代金一八万八〇〇〇円の支払日を同月二二日と約したものであること、Aは右支払日に残代金を集金するためY宅を訪ねたところ、Yから『子供(Yの子である中学生のBの意)がやる気がないからやめたい、本件教材を持ち帰ってほしい』旨告げられ、それに対し、『いいから(子供と)相談しておいて下さい、考えなおしてほしい』旨述べて、教材はY宅に置いたまま帰っていることが認められる。
右事実からすると、本件売買は、Xの営業所外の契約であり、本件商品は書籍であって後記法律にいう指定商品にあたるから、『訪問売等に関する法律』にいう訪問販売に該当し、同法の適用を受けることは明らかである。同法六条には、買主は、契約日から七日間内は無条件で書面による契約の解除ができる旨の、いわゆるクーリングオフが規定されており、本件売買の際取り交わされた注文書にも同趣旨の文言が明記されている。
前記認定のYのAに対する『商品を持ち帰ってほしい』旨の告知は、契約締結日の四日後に本件売買を担当したXの従業員に直接口頭でなされたものであって、契約解除の意思表示として十分であるから、右告知はクーリングオフの行使と解するのが相当である(書面による解除は必ずしも要式行為を規定しているものとは解されない)。
そうだとすると、本件売買は昭和六一年八月二二日Yのクーリングオフによって解除されたものと認められるから、Yには代金の支払義務はなく、Yの抗弁は理由がある。」